2012年05月09日(水)
- PSIM Cafe
磁気エネルギー回生スイッチ(MERS)の応用 #1
スナバ・ロスレス・スイッチ(Snubber Lossless switch)を使ったパルス電流のシミュレーション
東京工業大学 原子炉工学研究所 卓越教授 嶋田隆一先生からの投稿です。
問題:以下の回路において抵抗R1がゼロに近くなるとコンデンサC1の電圧はどうなるのでしょうか?
解説:
- 東芝府中のパワエレ開発者(内野 廣氏ら)が開発したスナバ・ロスレス・スイッチはスナバ・エネルギー(スイッチ回路にある残留磁気エネルギー)を捨てずに回生するすばらしい方式ですが,抵抗の少ない回路では困ったことになります。
- 問題点は,スイッチの電圧が積み重なって(ビルド・アップして),電源電圧より高くなること。われわれは,それこそ,すばらしいことであると考えてパルス発生回路を紹介します。それはインダクタンスの電圧を,スイッチが独自に作り出すのです。PSIMシミュレーションが示しますが,抵抗10Ωには最終的に2.4Aが流れるように,コンデンサには150Vもの電圧が発生します。コンデンサの電圧がパルス毎に成長する様子から,これが本当のブート・ストラップ回路と言いたいですね。
- 電源電圧がすべて負荷の抵抗に行って,インダクタンスに必要な電圧は要らなくなります。これは直流回路における力率1を実現していることにほかならないと思います。
- 蛇足ですが,このときスイッチはゼロ電圧でオフ,ゼロ電流でオンしており,これは今,話題のソフトスイッチングになっています。ぜひ,PSIMで調べて見てください。
このアナロジーを交流に生かせば,みんなが困っていた交流電力における力率の問題が解決する交流スイッチが実現します。それはまた次回。
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