2016年12月26日(月)
- PSIM Cafe
【平地研究室技術メモ】三相交流の基礎 No.20161130
舞鶴高専の平地先生が公開している「平地研究室技術メモ」をPSIMで回路を作って実行してみました。
(平地先生には許可をいただいて製作しています。)
作った回路はDLできるようにしていますのでぜひご活用ください。
※PSIMの回路についての動作保障は致しかねますのでご了承ください。
今回はNo.20161130 三相交流の基礎です。
平地研究室技術メモ「三相交流の基礎」を元に回路を作りました。
PSIMには三相正弦波電圧源という素子がありますので、この素子を使うと簡単に三相を出力することができます。
また、素子にも三相用の素子が用意されていて、3つくっついた抵抗やインダクタ、コンデンサなどがあります。
三相正弦波電圧源と3つくっついた素子を使うとあっという間に技術メモにある回路を作ることができ
こんな感じの回路になります。
わかりやすいように負荷は抵抗にしています。
相電圧、線間電圧を見てみると技術メモにある波形通りになっているので、ちゃんと三相交流を出力できていることがわかります。
線間電圧と相電圧の位相差は30度のはずですので、これを確認してみます。
PSIMには「測定(Measure)」という機能があります。
波形を表示させて望遠鏡のマークをクリックした後、波形をクリックするとクリックしたところの値を表示してくれます。
左クリック、右クリックと順番にクリックするとその差の数値を表示します。
線間電圧と相電圧の差を見てみると0.135msec、電源の周波数は600Hzなので、1周期1.66msec、
0.135m / 1.66m * 360 =29.3deg
クリックする点によってちょっと誤差がありますがおよそ30度ぐらいということが確認できました。
もちろん、単相の正弦波電圧源を接続しても三相を作ることができます。
普段は素子の数が多くなり面倒なだけなので使いませんが、
試しに同じ波形が出るように単相の電圧源を使って回路を作ってみました。
見た目は似ていますが、電圧源を縦に並べているのが単相の電圧源を使って作った三相電圧源です。
負荷は同じ三相用の抵抗を使いました。
三相の素子があるのにわざわざ単相の電圧源を使うこともないと思いますが、
あえて単相で作る場合の注意点を2つほどご紹介します。
1.三相正弦波電圧源の電圧の入力値と単相の正弦波電圧源の電圧の入力値の違い
三相正弦波電圧源の電圧の入力は「線間電圧の実効値」です。
一方、単相の場合は「最大値(波形のピーク値)」ですし、素子から見ると1つの相しかないので、相電圧です。
つまり、「線間電圧の実効値」と「相電圧の最大値」を同じ値で入力すると同じ波形にはなりません。
今回は単相の方を三相側に合わせ、下記の値を入力しました。
単相の電圧値=「三相正弦波電圧の電圧入力値」×√(2/3)
2.三相の相順を合わせる
三相交流電圧源の定義は以下です。
Va=V*√2/3*sin(2πft+θ*π/180)
Vb=V*√2/3*sin(2πft+θ*π/180-2π/3)
Vc=V*√2/3*sin(2πft+θ*π/180+2π/3)
単相の正弦波電圧源を3つ使う時には、電圧と周波数の他、a相、b相、c相で初期位相を変えますが、
上記の定義と同じように初期位相を設定しますのでa相は0、b相は240、c相は120を入力します。
波形を出力してみると、三相の電源を使った回路と全く同じ波形が出ていることがわかります。
回路は以下からダウンロードできますので、ぜひ色々動かしてみてください。
※Ver.10.0.6以上のデモ版で動作が可能です。
この記事の回路ファイルのダウンロードはこちらから